【2026年1月施行】行政書士法改正と自動車登録代行のコンプライアンス

自動車販売店様・ディーラー様向けコラム 最終更新:2026年7月

令和8年1月1日に施行された行政書士法の改正により、自動車販売の現場で長年慣習として行われてきた「登録代行」の法的な線引きが、これまで以上に明確になりました。本コラムでは、販売店様が知っておきたい改正のポイントと、実務上の注意点を整理します。

行政書士法第19条の改正ポイント

行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号)により、第19条第1項に「他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず、報酬を得て」という文言が追加されました。

行政書士法第1条の3では、行政書士の独占業務として以下の書類等の作成が規定されています。

自動車登録手続きにおいては、各種申請書が「官公署に提出する書類」に該当するほか、車庫証明(自動車保管場所証明)の申請時に添付する「所在図・配置図」についても、この「実地調査に基づく図面類」に含まれることが条文上明確に示されています。

「無償」「サービス」でも違反となるケース

今回の改正で最も注意すべきなのは、「名目を問わず報酬を得て行う行為」が厳格化された点です。

そのため、顧客に対して「代行料無料」や「サービス」として案内している場合であっても、車両販売代金や整備代金などに実質的な対価(事務手数料相当分など)が含まれていると判断されるリスクがあります。

「会費」「手数料」「コンサルタント料」「商品代金」など、どのような名目であっても、業務全体として実質的な対価が伴っているとみなされれば、非行政書士による独占業務の取り扱いとして問題視される可能性が高まります。

さらに、改正に伴い両罰規定(第23条の3)も整備されたため、違反行為を行った本人だけでなく、その者が所属する法人(会社)に対しても100万円以下の罰金が科されうる仕組みとなっています。

具体的にどのような行為が問題となるか

日本行政書士会連合会が令和7年12月24日付で取りまとめた「自動車販売会社による登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例」に基づき、実務上間違いやすい具体的な事例を3つご紹介します。

【例1】申請書の作成代行
販売員が、自社が販売した車両の車庫証明申請書や登録申請書の作成を代行すること。作成費用を無料としていても、販売代金等に報酬が含まれていると考えられるため。
【例2】自社データベースを使った書類作成
申請書を作成するために、自社の顧客情報・車両情報のデータベースを用いること。
【例3】提出後の訂正・補正
警察署・運輸支局に提出した後の追記・訂正・補正を販売員が行うこと。窓口の職員から求められた場合であっても同様とされています。
出典:日本行政書士会連合会「自動車販売会社による登録等の手続における行政書士法違反になるものと考えられる例」(令和7年12月24日)

OSS申請の例外について

行政書士法施行規則第20条により、一定の手続については例外が設けられています。具体的には、型式指定を受けた新車の新規登録・新規検査、保安基準適合証のある継続検査などについて、指定された団体(一般社団法人日本自動車販売協会連合会等)によるOSS申請が認められています。

ただし、この例外はあくまで新車の登録等、限られた手続が対象です。中古車の移転登録(名義変更)や中古新規登録は対象に含まれていません。

また、車庫証明については、OSS申請であっても「申請書に記載すべき事項の入力」に係る部分に限られており、所在図・配置図や使用権原疎明書面の作成を行うことはできないとされています(警察庁丁規発第34号・令和2年3月23日)。

例外の適用範囲についてご不明な点がある場合は、所属の団体または専門家にご確認されることをお勧めします。

販売店様の実務への影響と対応

今回の改正は、これまでの解釈を明文化したものであり、新しい規制が生まれたわけではありません。しかし、条文上の線引きが明確になったことで、従来の運用を見直す販売店様が増えています。

対応の方向性としては、

といった整理が考えられます。

外部委託には費用がかかりますが、販売員の方が窓口へ出向く時間や書類作成の手間、そしてコンプライアンス上のリスクを考慮すると、業務効率の面でもメリットのある選択肢です。

当事務所では、車庫証明・名義変更・出張封印まで、自動車登録に関する手続きを一括してサポートしております。1台からのご依頼・スポットでのご利用も承っておりますので、お気軽にご相談ください。

※本コラムは公開時点の法令・通達等に基づく一般的な情報提供であり、個別の事案についての法的判断を示すものではありません。具体的な対応については個別にご相談ください。